動物との愛着

2020年1月13日

先日、NHKテレビで、しろくまピース20歳 ~家族と歩んだ”いのち”の軌跡~

という番組を見た。

 

ピースが生まれたのは、1992年12月2日、体重僅か680gだった。動物園で育った母親のバリーバは子育ての仕方が分からなかった。

そこで母親の代わりを担うことになったのは、髙市敦広さんだった。

髙市さんは、ピースが飲めるミルクを見つけるところから始め、24時間付きっきりで、昼間は動物園で、夜は家に連れて帰り、奥様と、小さい子ども2人との生活が始まった。

家じゅうが、それはそれは大事に、奥様も、子ども達も本当に人間の家族のように世話をしたり遊んだりして育てた。ピースはそんな家族の元ですくすくと成長した。

そしてピースは母熊に甘えるときに出す、ささ鳴きをするようになった。家族の愛情を受け入れ、安心したしぐさを見せるようになった。

109日目。ピースの体重も15KGを超え、荒々しさも出て来て、家に連れて帰ることの限界を感じるようになった髙市さんは、家に連れ帰らないことを決心した。動物園にピースを置いて髙市さんが帰ろうとすると、ピースは部屋に入ろうとすることを嫌がり、夜通し声が枯れ続けるまで髙市さんを呼び続けたという。

それからも苦労は多々あったが、無事20年経ち、ピースは20歳になった。

ピースは今でも髙市さんを見ると寄って来て甘える。声と臭いで髙市さんと分かるとのこと。髙市さんも、今も檻の中と外でも気持ちは繋がっている感じだという。

 

見ていて本当に、人と動物の枠を超えて、心がしっかりつながっていると感じたし、誰の目にも明らかだろう。

 

 

それに対し、旭川動物園の園長の、坂東元さんが、NHKテレビのスイッチ・インタビューでおっしゃっていたこと。

ヒグマの子が事故に遭って、動物園に収容されて来た。ヒグマはまだ小さく、人間にしたら幼稚園児くらいか?しかしヒグマは絶対に人になつかない。餌を与えてもこちらをじっと見続け、見ていない時に食べるが、人こちらが見ている間は絶対食べない。1回も気を許さない。多分、ずっと見続けたら死ぬまで食べない。他の生き物に頼ろうとしない野生の生き物の本質、とのことだった。

 

 

ヒグマ子としろくまの子。

これは恐らく、熊の種類による差ではないと思われる。収容されたヒグマは、人間で言ったら幼稚園児くらいまで、野生の母熊に育てられた。一方、しろくまのピースは、生まれた瞬間から、髙市さんたち、人間に育てられた。

ヒグマの子は野生の母熊との間で愛着が育ち、野生を身に付けた。ピースは髙市さんに育てられ、髙市さんとの間に愛着が育った。ヒグマの子は人間との間に愛着は育たないし、ピースは野生を身に付けられない。

 

0歳から臨界期までの間に、誰にどう育てられたかが、決定的な要因だと思う。

 

 

人にも愛着が育つまでの臨界期がある。愛着が育つまでの間の育てられ方は、育てられた本人の知らないところで、その人の人生を決めているのかもしれない。