NHK 「僕が性別 ”ゼロ” になった理由」

2019年11月24日

NHKBS1の「僕が性別 ”ゼロ” になった理由」を見た。

女性として生まれた心の性別が男性であるトランスジェンダーの小林空雅(たかまさ)さんを、15歳から9年間追ったドキュメンタリーだ。

中学時代に男子生徒として登校することを学校に認めさせ、男子生徒として過ごした。20歳になると、子宮と卵巣を取り除く性別適合手術を受け、戸籍上も「男性」になる。だが、小林さんは今度は男性であることに違和感を持ち始める。そんな中、小林さんの生き方に影響を与える人と出会い、更に「自分は男性でも女性でもない」と、名前も小林このみさんと変え、それが一番自分らしい生き方だと、それまでとは違った人生を歩み始める。

 

 

 

私が今回番組を見て驚いたのは、トランスジェンダーのことではない。少し別の視点である。

番組の、9年間の中でNHKは何度か同じ質問を小林さんにしている。

 

_________「今の自分は好きですか?」_______

 

それに対し、小林さんは、

中学生の時は「好きかと聞かれるとそうでもない気がするけど、楽しく生活できてるからいいなじゃないかなって。体のこととかもあるしその辺は好きになれないけど、中身としては許せるかなぐらい」

高校生の時は「もともと好きとは言えなかったけど許してやろうかな」と答えていた。

 

それが今回、現在の小林さんは

「今の自分は好きですね。世界で一番好きな人は自分なので」と答えていた。

ここまで来るまでには、大変な苦労をされている。2度の手術やホルモン注射、生涯に亘っての注射の必要性。生活をしていく上で男性、女性の枠がある世界の中で、枠に入れず生きてく手段も手に入れずらい環境であるなどなど、上げればきりがないほどの大変さを抱えている。

しかし、自分の感じている自分に嘘をつかない、ということが素直に自分が好き、と言えていることが大きいのかな、と感じた。

それとともに、そういう小林さんを受け入れてくれている人間関係も小林さんを支えてくれているように感じた。

 

今の小林さんはまだ途中経過で、今後また変わっていくかもしれない。しかし、根本的に、自分を好きと思える小林さんは困難を乗り切って行かれるだろうと思った。そんな小林さんに心から頑張れ!と応援したい気持ちでいっぱいだ。

 

 

小林さんの話を聞き、人間の悩みの根底を問われる思いをした。

 

いろんな方のお話をお聴きしている中で、自分を好きになれない、自分はダメだと思って苦しんでいる方は結構いらっしゃる。性別は大きな自分自身のアイデンティティーに関係することは間違いない。しかし、それさえも超えて自分を好きと思えるのは、人の本質そのものを問われているように思う。

 

自分自身に対し、好きと思え、自信を持てたら生きて行くのは楽だろう。