小説 透明なゆりかご

2019年7月26日

小説 透明なゆりかご を読んだ。

昨年放送されたNHKのドラマを小説にしたものだ。

ドラマの放送時から見ていてとても感動していたが、小説でも読み始めると止まらず、一気に読み終えた。

由比産婦人科で、看護助手の高校生、青田アオイがアルバイトを通して成長していく物語だ。青田アオイの目を通して物語は語られ、1人ひとりの、その瞬間の人生、生き方、人のつながりが描かれていく。患者さんだけでなく、他の登場人物も、全員が生身の悩みを持った人として。生まれたばかりで亡くなってしまった子供の棺桶を持って来てくれるおじさんも、こういう人なんだろうと思わせてくれる。

中の物語は、目を背けたくなるようなことも多くあり、けっしてハッピーエンドな内容ばかりではない。悲しみ、怒り、やりきれなさもあり、社会への理不尽さも感じる。それでも人って愛おしいと思い、喜びも、感動も大きい。

 

登場人物はどれも魅力的だ。どの人をとっても、こういう人に看護して欲しいと思わせてもらった。主人公の青田アオイの素直な感性がとても愛おしい。きっと一緒にいたら優しい気持ちになるだろうと思わせてくれる。

ドラマの時から魅かれていたのが院長の由比朋寛だ。

冷静沈着に、しかもとても温かく、時には熱く。しかもいつも主人公は自分と思わせてくれる。こんな先生がいると分かったら、診て欲しいと安心出来る先生だ。

読み終わって、一言では言えない深い余韻が続いてる。