NHKスペシャル「香川照之の 昆虫”やばいぜ!”」

2019年8月5日

NHKスペシャル「香川照之の 昆虫”やばいぜ!”」を見た。

小さい頃から昆虫が大好きな香川照之が、コスタリカに大好きな昆虫を探しに行く番組だ。

 

コスタリカの国の大きさは、日本の 1/7 位しかなく、日本の四国と九州を合わせた位の面積だそう。その小さな面積のコスタリカの熱帯の森に、日本の何十倍、何百倍という種類の虫がいるという。

香川照之は日本では見られない、昆虫好きなら皆があこがれる、スペシャルな虫達、モルフォチョウ、マルムネカマキリ、巨大カブト、スカシアダラ、プラチナコガネ、ナナフシを見つけたいと熱帯の森に向かった。

 

短い滞在期間で、あっという間に何種類もの昆虫を見つけた。

予定にはなかった、まるで苔のように擬態しているツユムシの仲間や、ナンベイマルムネカマキリ、ヘレノール・モルフォチョウ、カミキリムシ、プラチナコガネ、シルバーのプラチナコガネ、エレファスゾウカブトを次々に見つけることができた。

 

日本にいるカブトムシは8種類ほどだが、コスタリカには100種類のカブトムシがいるという。

驚くことに、見つけた巨大カブトムシが、1本の木に10匹も群がっている。何とも異様だ。

カブトムシはマメ科の木の樹液を食べている。元々その周辺にはマメ科の木がたくさんあったのだが、

人が開拓してマメ科の木を伐り、バナナに植え替えてしまったため、残り少ないマメ科の木に群がっているのだという。

 

今地球上の昆虫の生態が確実に変わっている。

変わっているのはコスタリカだけではない。世界中で異変が起きている。

話は進み、ドイツのミュンヘン州立  動物収集研究所では長年にわたり、蝶の標本が保管されている。そこで保管されている蝶の中で、何種類もの蝶が絶滅しているという。バイエルン州では3295種いた蝶の11%が姿を消してしまったとのこと。

蝶だけではなく、ドイツ国内で昆虫全体減少しているという。

1994年の7月の2週間で集めた虫の量はが、2016年の同じ7月の2週間に集めた量では1/3ほどになっている。27年間で、飛ぶ虫の量は76%減少しているそうだ。絶滅危惧種だけでなく、どこにでもいる虫の量までとても減っているのだ。

更に、昆虫の減少が世界中から報告されていることが分かってきたという。

日本でも、地域によってアキアカネが99%減少。

 

昆虫の減少にはいくつかの原因が考えられている。

1.大規模農業は昆虫の住みかを奪う。

2.農薬の使用。

3.都市化。

4.地球の温暖化など、様々な要素が絡み合っている。

 

 

そして今年1月、世界中の昆虫減少の論文を検証した、シドニー大学の研究者が驚きの数字を導き出した。

地球上の昆虫はここ30年で毎年2.5%ずつ減少し続けていて、100年後には、今の昆虫の1%未満しか残らないかもしれないという。このままでは危機的状況、

「昆虫カタストロフィ」に陥る可能性があるという。

 

昆虫は、食物連鎖のすべての土台であり、この世のすべての生物を回す回し屋である。

昆虫がいなくなると地球上の生き物は回転しなくなり、動物も植物も、全ての生物の生存が難しくなり、昆虫がいない世界では人間は大混乱に陥るという。それが「昆虫カタストロフィ」だ。

人間はそれに気づかず、人間の欲望を追求した結果、越してはいけないラインを超えてしまったのかもしれない。昆虫のカタストロフィは、ゆくゆくは人類のカタストロフィに繋がることになる。

 

今昆虫は危機にさらされている。昆虫は地球上に誕生し、4億年の歴史を持つ。これまで地球上の様々な生き物が絶滅してきた大ピンチを、何度も生き抜いてきた。その逞しい生命力を教えてくれるのが、オオカバマダラという渡り蝶だ。オオカママダラは、アメリカ北部とメキシコを渡り歩いている。環境の変化により、より長い距離を飛ばなくてはいけなくなったオオカバマダラは翅を大きく進化させているという。何としても生き延びようという戦略だ。

希望でもある。

 

私達人類は、地球上の生き物がカタストロフィーに陥らないために、どこから手を付けて行ったらいいのだろうか。